内容更新日:2026年9月14日
新橋の飲食店M&Aでは、売上や希望価格だけで判断すると、成約後に営業を続けられないことがあります。店舗賃貸借、食品営業許可、従業員、常連客、予約・決済アカウント、厨房設備を、誰が、いつ、どの契約で引き継ぐかまで先に確かめることが重要です。
この記事は、新橋・内幸町・西新橋・東新橋周辺で飲食店の譲渡を検討する経営者に向けた実務ガイドです。株式譲渡と事業譲渡の違い、店舗特有の評価資料、賃貸人との調整、営業許可の地位承継、雇用とシフト、顧客データ、仕入先、デリバリーや予約媒体、クロージング後の運営移行までを順番に整理します。
個別の契約、許認可、税務、会計、労務の判断は、店舗の所在地、法人・個人の別、譲渡対象、契約条項によって変わります。本記事は一般的な情報であり、最終判断は管轄行政機関、弁護士、税理士、社会保険労務士などの専門家へ確認してください。
- 新橋の飲食店は、昼・夜・曜日・予約経路ごとの売上を分けて説明すると、引き継ぎ後の運営像が伝わりやすくなります。
- 店舗賃貸借は、契約名義、譲渡・転貸禁止、賃貸人の承諾、保証金、原状回復、造作、看板、営業時間を一つずつ確認します。
- 食品衛生法上の営業者の地位は、2023年12月13日以降、一定の事業譲渡で届出により承継できる制度があります。ただし、譲渡範囲や施設変更によって扱いが異なるため、みなと保健所へ事前相談します。
- 従業員、常連客、予約台帳、SNS、決済、デリバリー、仕入先は、法的に移せるかだけでなく、実際に継続利用できるかを確認します。
- 価格は、利益だけでなく、賃貸借の継続性、設備状態、店長・料理人への依存、許認可、顧客導線、引き継ぎ負担を含めて検討します。
新橋の飲食店M&Aで地域性を見る理由
新橋は、駅利用者、周辺事業所、飲食店が多い商圏です。JR東日本が公表する2024年度の新橋駅1日平均乗車人員は23万1,628人で、同社エリア内8位でした。港区「数字で見る港区」が引用する特別区の統計(令和5年度版)では、区内の飲食店数は4,658とされています。これは食品衛生法に基づく飲食店営業の許可に関する集計で、新橋駅周辺だけの店舗数ではありません。数字だけで個別店舗の価値は決まりませんが、競争相手と来街者の双方が多い地域であることは、評価資料の作り方に影響します。
飲食店の売上は、立地が同じでも業態、営業時間、客単価、席数、予約比率、天候、曜日、近隣オフィスの出社状況で動きます。新橋では、平日昼の短時間需要、仕事帰りの会食、少人数の予約、週末の人流など、時間帯ごとに客層が変わる店舗があります。譲渡企業様は「新橋駅から近い」という説明だけでなく、どの需要を、どの運営体制で獲得しているかを示す必要があります。
月次売上だけでは、買収後の再現性を判断しにくいことがあります。POSから曜日別・時間帯別・商品群別の売上を出し、予約媒体、電話、店頭、紹介、Googleマップなど来店経路を分けます。法人宴会や近隣企業からの固定利用がある場合は、担当者個人との関係なのか、店舗ブランドに付く需要なのかも確認します。
飲食店の運営では、採用・教育・シフトを継続できるかを確認します。店長や料理人が残るかどうかは、設備と同じくらい重要です。なお、統計の年度や定義は資料ごとに異なるため、異なる統計を単純に足したり、現在の個別店舗へそのまま当てはめたりしないようにします。
現地確認は異なる時間帯で行う
候補先が店舗の実態を理解するには、一度の見学だけでは足りません。開店準備、昼のピーク、昼と夜の切替え、夜の予約来店、閉店作業では、必要な人員と設備の使い方が異なります。秘密保持に配慮しつつ、譲渡企業様が許可した範囲で、複数の時間帯を確認できる工程を作ります。
現地では、駅からの徒歩分数だけでなく、来店客が実際に使う出口、雨天時の導線、看板の見え方、エレベーター待ち、共用部、搬入経路、ごみ置場も確認します。地下や上層階の店舗では、店内の魅力が十分でも、初回来店客が入口を見つけにくいことがあります。予約客と通行客の比率を説明すると、立地の強みを誤解なく伝えられます。
厨房では、最大席数ではなく、現在の人員で無理なく提供できる席数を見ます。注文が集中したときに詰まる工程、仕込み場所、洗い場、冷蔵容量、配膳経路を確認します。客席を増やせるという見通しは、消防、避難経路、設備能力、賃貸借条件を確認してから示します。
周辺の競合店は、価格や口コミ件数だけで比較しません。昼食、会食、立ち寄り、接待、少人数予約など、顧客が店舗を選ぶ場面を分けます。譲渡対象店舗が選ばれる理由を、料理、接客、立地、速度、個室、予約の取りやすさといった具体的な要素に分解すると、候補先は買収後に残すべき価値を判断しやすくなります。
株式譲渡と事業譲渡の選び方
法人が飲食店を運営している場合、代表的な方法は株式譲渡と事業譲渡です。個人事業の場合は株式がないため、設備、在庫、営業権、契約上の地位などを個別に移す事業譲渡が中心になります。複数店舗のうち新橋店だけを切り出す場合も、事業譲渡が候補になります。
| 確認項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 取引対象 | 会社の株式を移し、会社の支配権を引き継ぐ | 特定店舗の資産・契約・権利義務を選んで移す |
| 法人格 | 同じ会社が営業を続ける | 譲受企業が対象事業を受け入れる |
| 契約 | 契約当事者は原則として同じ会社。ただし、支配権変更条項や事前承諾条項を確認 | 契約ごとに譲渡、再契約、承諾などが必要になりやすい |
| 従業員 | 雇用主である会社は変わらない | 転籍等には個別同意が必要になるため、説明順序を設計 |
| 負債・過去の問題 | 会社に残る債務や過去の法的問題も含めて調査対象 | 承継対象を選べるが、契約・許認可・税務処理が増える |
| 向きやすい場面 | 単一事業の会社を法人ごと引き継ぐ場合 | 複数店舗の一部、個人事業、特定事業のみを引き継ぐ場合 |
株式譲渡だから契約確認が不要になるわけではありません。店舗賃貸借、フランチャイズ、借入、リース、決済、予約媒体の契約に、株主や代表者の変更を通知する条項、支配権変更時の承諾条項、解除条項がないかを確認します。代表者保証や保証人も自動的に解除されるとは限りません。
事業譲渡では、何を移し、何を残すかを資産一覧と契約一覧で定義します。厨房設備、家具、食器、在庫、電話番号、ドメイン、SNS、予約台帳、屋号、レシピ、仕入条件、前受金、商品券、ポイント残高など、店舗運営に必要な項目を漏れなく棚卸しします。資産の所有者が運営会社ではなく、代表者個人やリース会社である場合もあるため、名義を確認します。
飲食店の企業価値・事業価値を整理する
飲食店の評価では、決算書の営業利益をそのまま使わず、引き継ぎ後も続く収益と、一時的・個人的な収支を分けます。役員報酬、家族給与、個人利用を含む経費、一時的な修繕、開業費、補助金、保険解約益などを確認し、調整の根拠を総勘定元帳や契約書へ結び付けます。都合のよい費用だけを除くと、説明の信頼性を損ないます。
店舗別損益を作る
複数店舗を運営する会社では、新橋店だけの売上、原価、人件費、家賃、水道光熱費、媒体費、決済手数料、減価償却、共通本部費を切り分けます。本部費を配賦している場合は、買収後も必要な業務と、譲渡企業側に残る業務を分けます。店舗単体では黒字でも、店長採用や経理を買収側が新たに用意すると、引き継ぎ後の利益が下がることがあります。
売上の質を説明する
直近三期の決算と、少なくとも直近12か月の月次推移をそろえます。曜日別、時間帯別、客数、客単価、席回転、予約キャンセル、原価率、人時売上高を確認します。宴会など大口予約への依存がある場合は、件数と売上構成を示します。常連客については、個人を特定する情報を初期段階で出さず、来店頻度や売上構成を集計値で説明します。
設備と追加投資を確認する
厨房機器、排気、空調、給排水、グリストラップ、冷蔵・冷凍設備、食洗機、POS、看板の取得時期、修繕履歴、所有名義、リース残高を一覧にします。耐用年数と実際の使用可能期間は同じではありません。買収後1年以内に交換が見込まれる設備があれば、故障履歴、見積り、営業停止日数の想定を共有します。
希望価格には、利益、設備、在庫、保証金、営業権など複数の要素が含まれます。事業譲渡では、資産ごとの対価配分が税務へ影響します。国税庁は、営業譲渡に課税資産と非課税資産が含まれる場合、対価を合理的に区分して課税する考え方を示しています。個別取引の配分、消費税、譲渡益の扱いは税理士へ確認します。
店舗賃貸借と造作・保証金の確認
新橋の飲食店M&Aで、早い段階から確認したいのが店舗賃貸借です。店舗の営業実績が良くても、譲受企業が同じ場所で営業できなければ、事業価値の前提が変わります。賃貸人や管理会社へ相談する時期が早すぎると秘密保持に影響し、遅すぎると成約日程に間に合いません。候補先が具体化した段階で、契約条項と情報開示方針を照合します。
契約書で見る項目
- 契約当事者、契約期間、更新、定期借家か普通借家か
- 賃借権の譲渡・転貸禁止、株主変更・代表者変更時の通知または承諾
- 業種・業態、営業時間、酒類提供、臭気・煙、音、廃棄物に関する制限
- 保証金・敷金、償却、返還時期、承継可否、追加保証金
- 連帯保証人、保証会社、審査資料、保証料
- 造作の所有権、残置物、原状回復、指定工事業者、看板使用
- 修繕区分、設備故障時の負担、消防・ビル管理規約への対応
「造作譲渡」と「賃貸借の承継」は別の問題です。厨房設備や内装を譲渡できても、賃借権を移せなければ営業場所を確保できません。反対に、譲受企業が新しい賃貸借契約を結べても、造作の所有者や撤去義務が曖昧だと、成約後に費用負担が争点になります。
賃貸人の承諾を停止条件にする場合は、誰が申請し、どの資料を出し、条件変更をどこまで受け入れるかを決めます。新賃料、契約期間、保証金、保証会社、原状回復範囲が変わる可能性もあります。承諾が得られなかった場合の契約解除、支払済み金銭、設備撤去、営業継続も最終契約に置きます。
営業許可と行政手続の引き継ぎ
食品衛生法では、2023年12月13日から、一定の事業譲渡により許可営業者または届出営業者の地位を承継できる制度が整備されました。食品衛生法第56条は、許可営業者が営業を譲渡した場合、営業を譲り受けた者が許可営業者の地位を承継し、遅滞なく届出を行うことを定めています。厚生労働省の案内では、譲渡を証する書類等の添付と、管轄保健所への事前相談が示されています。
港区の「営業許可 手続きのながれ」には、地位承継届(事業譲渡)の案内と様式が掲載されています。新橋の店舗はみなと保健所の管轄となるため、契約締結前に、譲渡対象、許可業種、施設の変更、届出時期、必要書類を確認します。制度があることだけを理由に「許可はそのまま移る」と断定しないことが大切です。
承継制度を使う前の確認
営業の全部ではなく一部だけを譲渡する場合、同じ施設で複数の許可を持つ場合、設備やレイアウトを変更する場合、譲渡前後で営業内容が変わる場合は、手続の扱いが異なることがあります。厚生労働省の通知では、許可・届出の一部だけを譲渡する場合や、衛生水準の継続に懸念がある場合の考え方が示されています。契約書上の「事業」と行政上の「営業」の範囲が一致するかを確認します。
食品営業許可以外にも、深夜に酒類を提供する営業、酒類販売、道路使用、屋外広告、喫煙、消防、音楽利用、テラス使用など、店舗によって手続があります。これらが譲渡可能か、新規申請か、届出かは制度ごとに異なります。許可証・届出控えを一覧にして、所管、名義、有効期限、変更届、過去の指摘を整理します。
従業員・店長・料理人の引き継ぎ
飲食店は、メニューと設備だけでは動きません。店長、料理人、ホール責任者、アルバイトの採用・教育、シフト作成、発注、衛生管理、予約対応がつながって初めて営業できます。経営者が現場の多くを担っている店舗では、その業務を誰が引き継ぐかを明らかにします。
株式譲渡では雇用主である会社自体は変わりませんが、経営方針や勤務条件の変更は別途検討が必要です。事業譲渡では、労働契約を当然に移せるわけではなく、対象従業員との個別調整が必要です。候補先へ氏名や詳細な個人情報を開示する前に、匿名化した人員表を使い、役割、雇用形態、勤務日数、賃金帯、勤続年数、保有資格、退職予定などを整理します。
説明の順番を決める
従業員への説明が早すぎると、不確定な情報による不安や退職を招く場合があります。一方、成約直前まで何も伝えないと、十分な検討時間を確保できません。法的な手続だけでなく、店長など重要な人材が意思決定に必要とする期間、繁忙期、給与締日、シフト確定日を考慮します。
説明資料には、譲渡理由、営業継続の方針、雇用主、勤務地、仕事内容、賃金、勤続年数の扱い、有給休暇、社会保険、退職金、制服、連絡先、質問窓口を含めます。条件が未決定なら、決まっていないことを明示し、回答日を示します。口頭説明だけでなく、説明内容と同意の記録を残します。
未払いや労務問題を先に整理する
労働時間、固定残業代、深夜割増、休日、年次有給休暇、社会保険、労災、ハラスメント、外国人雇用、健康診断などを確認します。タイムカードと給与計算の差、店長の管理監督者性、仕込み・片付け時間の扱いは、飲食店で確認されやすい論点です。問題があれば隠さず、事実、金額、対象期間、是正状況を整理し、社会保険労務士や弁護士へ確認します。
常連客、予約、口コミ、個人情報の扱い
常連客は重要な事業価値ですが、顧客名簿を買収候補へそのまま渡してよいとは限りません。初期検討では、個人を特定できない形で、来店頻度、客単価、予約経路、法人・個人の比率、リピート率などを説明します。個人情報を開示・移転する段階では、プライバシーポリシー、利用目的、契約形態、法令上の扱いを確認します。
予約台帳には、氏名、電話番号、メールアドレス、アレルギー、記念日、会食相手など、慎重な管理が必要な情報が含まれる場合があります。紙台帳、POS、予約システム、メッセージアプリに情報が分散していないかを確認します。譲渡対象、保存期間、アクセス権、不要データの削除、端末の初期化を決めます。
アカウントは譲渡できるとは限らない
Googleビジネスプロフィール、SNS、グルメサイト、予約媒体、デリバリーサービス、メール配信、ドメイン、電話番号は、利用規約と契約名義を確認します。アカウントのパスワードを渡すだけでは、規約違反や本人確認の不一致、売上入金先の混乱が起きることがあります。各サービスの管理者追加、所有権移管、契約変更、本人確認を、公式手続に従って進めます。
口コミは店舗の営業履歴に結び付く一方、虚偽表示や不適切な編集をしてはいけません。店舗名や業態を変更する場合、旧店舗と新店舗の関係が利用者に誤解なく伝わるようにします。過去の低評価を消す目的で不自然なアカウント操作をするのではなく、運営変更後のサービスを着実に改善します。
仕入先、FC、決済、デリバリー等の契約
主要食材や酒類の仕入条件が、現経営者との長年の関係で成立していることがあります。価格、最低発注量、支払サイト、配送曜日、専売、リベート、貸与設備、未払金を確認します。譲受企業が同じ条件を受けられるかは別途確認が必要です。特定の料理人や仕入先がいなければ再現できない看板商品がある場合、レシピだけでなく調達と品質管理も引き継ぎます。
フランチャイズ店では、加盟契約、商標、メニュー、仕入、改装、研修、ロイヤルティ、エリア、譲渡承認、違約金を確認します。本部承認が得られなければ、同じブランドで営業できない場合があります。承認申請の時期と必要資料を、情報管理に配慮しながら本部と調整します。
クレジットカード、コード決済、予約時の事前決済、デリバリーの売上は、入金まで時間差があります。クロージング日前後の売上、キャンセル、返金、チャージバック、クーポン、ポイント、未消化の回数券を誰が負担するかを決めます。銀行口座だけを切り替えるのではなく、売上計上と返金責任の基準日を置きます。
電気、ガス、水道、通信、廃棄物、害虫防除、清掃、リネン、BGM、警備、POS保守、厨房保守も契約一覧へ入れます。契約を移せない場合は、新契約の開始日と旧契約の終了日を合わせ、営業に空白が出ないようにします。
買収監査に備える資料
買収監査では、資料を一度に無秩序に送るのではなく、財務、税務、法務、労務、許認可、店舗運営に分けます。ファイル名に基準日と対象店舗を入れ、最新版と旧版を混ぜないようにします。候補先ごとに閲覧範囲を分け、ダウンロード履歴や質問回答を記録します。
| 分類 | 主な資料 | 飲食店での確認点 |
|---|---|---|
| 財務・税務 | 決算書、申告書、月次試算表、総勘定元帳、固定資産台帳 | 店舗別損益、現金売上、棚卸、役員・家族関連費用、一時費用 |
| 売上・原価 | POS、予約、商品別売上、仕入台帳、棚卸表 | 曜日・時間帯、客数、客単価、原価率、媒体別売上 |
| 賃貸借・設備 | 賃貸借契約、保証金、図面、設備一覧、リース、修繕履歴 | 承諾、原状回復、造作所有、故障、追加投資 |
| 許認可 | 許可証、届出控え、検査記録、衛生管理記録 | 名義、有効期限、承継範囲、施設変更、過去の指摘 |
| 人事・労務 | 雇用契約、賃金台帳、出勤簿、就業規則、社会保険 | 深夜割増、未払残業、有給、退職予定、在留資格 |
| 商取引 | 仕入、FC、決済、予約、デリバリー、保守契約 | 譲渡承諾、名義変更、入金・返金、違約金 |
| 知的財産・情報 | 屋号、商標、ドメイン、SNS、レシピ、写真、顧客データ | 権利者、利用許諾、個人情報、アカウント移管 |
資料に問題が見つかっても、削除したり説明を曖昧にしたりしません。事実、影響、是正策、完了予定日を整理します。小さな不備を早く共有して直す方が、最終段階で初めて発覚するよりも、候補先との信頼を保ちやすくなります。
秘密保持から成約までの進め方
1. 譲渡目的と守りたい条件を決める
価格、従業員、屋号、店舗継続、仕入先、常連客、経営者の関与期間について、必須条件と希望条件を分けます。閉店回避、別事業への集中、後継者不在、体力面など、譲渡理由を事実に沿って説明できるようにします。
2. 匿名概要を作る
業態、概算規模、席数、エリア、強み、譲渡理由を匿名でまとめます。新橋では、駅出口、路地、ビル名、席数、営業時間、特徴的なメニューの組み合わせだけで店舗を推測されることがあります。候補先の検討に必要な情報と、特定につながる情報を分けます。
3. NDAとネームクリアを行う
候補先の事業目的、競合関係、情報管理体制を確認し、譲渡企業様の承認後に社名を開示します。秘密情報の利用目的、共有可能な役職員・専門家、複製、返還・廃棄、直接接触の禁止を確認します。詳しくは秘密保持とネームクリアの実務も参照してください。
4. 経営者面談と店舗確認を行う
営業時間中の店舗確認は、従業員や顧客に意図を悟られるおそれがあります。来店方法、名乗り方、写真撮影、質問、現場責任者への接触を決めます。設備確認は、営業を妨げない時間に、所有・リース・故障・衛生状態を確認します。
5. 基本条件と独占交渉を整理する
価格だけでなく、譲渡対象、従業員、賃貸人承諾、許認可、在庫、保証金、引き継ぎ、独占期間、費用負担を基本合意へ反映します。独占期間は、候補先の調査に必要な時間と、譲渡企業様が他候補との交渉を止める不利益のバランスを見ます。
6. 買収監査と最終契約へ進む
質問回答は口頭で終えず、資料と回答を記録します。問題が見つかった場合は、価格調整だけでなく、成約前の是正、表明保証、補償、留保金、成約後の対応に分けて検討します。個別の法的・税務的な結論は専門家へ確認します。
最終契約で曖昧にしない事項
最終契約では、譲渡対象を別紙で具体化します。「店舗事業一式」だけでは、現金、売掛金、未収入金、在庫、リース、保証金、前受金、ポイント、顧客データ、SNSが含まれるか分かりません。対象資産、対象外資産、承継債務、契約、従業員をそれぞれ一覧にします。
- 価格、支払日、消費税、価格配分、在庫精算、基準日後の増減
- 賃貸人、FC本部、取引先、行政機関など第三者承諾
- 許認可・届出、営業開始、設備変更、衛生管理の責任分担
- 従業員への説明、同意、労働条件、未払賃金、退職者対応
- 前受金、予約、商品券、ポイント、返金、クレーム
- 表明保証、補償上限、期間、少額免責、既知事項の開示
- 競業避止、勧誘禁止、屋号・レシピ・写真の利用範囲
- 経営者の引き継ぎ期間、勤務日、報酬、責任、緊急時対応
- 成約条件が満たされない場合の解除と費用負担
表明保証は「問題がない」と広く約束するだけでは危険です。譲渡企業様が把握できる範囲、対象期間、重要性、開示資料との関係を調整します。飲食店では、衛生、労務、設備、顧客クレーム、食中毒・異物混入、近隣苦情なども確認対象です。過去の事象がある場合は、事実と対応結果を開示します。
成約後100日を見据えた引き継ぎ
成約日を終点にせず、最初の100日で何を安定させるかを決めます。初日に必要なのは、鍵、金庫、端末、印鑑、許可証、緊急連絡先、発注権限、決済、予約、シフト、衛生管理です。これらが欠けると、営業は続いても、現場が小さな判断をできません。
成約前に作る運営引き継ぎ表
業務名、現担当者、承継担当者、マニュアル、実地訓練日、完了基準を一覧にします。開店・閉店、仕込み、発注、棚卸、予約、クレーム、現金管理、衛生記録、機器トラブル、ビル管理会社への連絡を含めます。経営者の経験に依存する判断は、具体的な事例と判断基準を残します。
メニューや価格をすぐ変えるかは慎重に判断します。原価改善が必要でも、常連客が価値を感じている料理、接客、予約方法を一度に変えると、客離れの原因を特定できません。最初は品質と安全を安定させ、売上、客数、原価、労働時間、クレームを週次で確認します。
従業員との面談では、今後の方針を伝えるだけでなく、現場で止まりやすい作業、常連客の配慮事項、設備の癖、繁忙日の役割分担を聞きます。譲受企業が答えられない質問は持ち帰り、回答日を決めます。説明の一貫性が、離職防止と営業継続に影響します。
譲渡企業様の手数料0円の範囲
日比谷M&A総合センターでは、譲渡企業様から、相談料、着手金、月額報酬、中間金、成功報酬を受領しません。成功報酬を含め、当センターへ支払う譲渡企業様側の手数料は0円です。料金だけでなく、支援範囲、候補先への情報開示、利益相反への対応を契約前に確認できるようにします。
一方、すべての外部費用が0円になるという意味ではありません。譲渡企業様が自ら依頼する弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、司法書士等の専門家費用、登記、許認可、公租公課、第三者調査、設備修繕、原状回復など、当センター以外へ支払う費用は別途生じる場合があります。費用が見込まれる場合は、負担者、金額または算定方法、発生時期を事前に確認します。
当センターは譲受企業側から報酬を受領する場合があります。この報酬構造による利益相反の可能性を隠さず、譲渡企業様へ説明します。詳細はサイト利用条件・免責事項と利益相反管理方針をご確認ください。
新橋の飲食店M&Aでよくある質問
営業許可は事業譲渡で引き継げますか
食品衛生法上、一定の事業譲渡では許可営業者等の地位を届出により承継できる制度があります。ただし、譲渡する営業の範囲、施設変更、複数許可、譲渡前後の営業内容によって扱いが異なります。新橋の店舗は、契約前にみなと保健所へ相談し、必要書類と日程を確認してください。
店舗賃貸借はそのまま引き継げますか
契約内容と賃貸人の判断によります。賃借権の譲渡、転貸、株主変更、代表者変更、業態変更に関する条項を確認します。事業譲渡では新たな賃貸借契約が必要になる場合があります。賃貸人承諾、保証金、保証人、原状回復、造作の扱いを成約条件に反映します。
赤字店舗でも譲渡できますか
赤字だけを理由に直ちに不可能とは言えません。立地、賃貸条件、設備、客層、人材、営業時間、原価改善余地、他店舗との相乗効果を評価する候補先もあります。ただし、赤字理由を一時要因と恒常要因に分け、買収後に必要な運転資金と追加投資を説明できるようにします。
従業員へいつ伝えるべきですか
取引手法、交渉状況、従業員の役割、法的手続によって異なります。秘密保持と離職リスクを考えながら、説明対象、説明者、時期、労働条件、質問対応を準備します。事業譲渡での転籍等は個別調整が必要になるため、専門家の助言も受けてください。
常連客の名簿や予約履歴も譲渡できますか
個人情報保護法、利用目的、プライバシーポリシー、取引手法を確認する必要があります。初期段階では個人を特定しない集計情報を使います。移転が必要な段階では、対象データ、根拠、通知、同意、保存期間、アクセス権、不要データ削除を専門家と確認してください。
厨房設備はどのように評価しますか
購入価格だけでなく、所有・リースの別、取得時期、修繕履歴、故障、衛生状態、撤去義務、今後の交換費用を確認します。設備が古くても整備されている場合があり、新しくてもリース残高や所有権の問題があるため、現物と契約を併せて見ます。
相談したら店舗名が外部へ出ますか
初回相談から無断で候補先へ社名や店舗名を開示するものではありません。匿名概要を候補先へ送る前から、候補先、開示目的、開示範囲を確認し、譲渡企業様の了承を得て段階的に開示します。店舗名を伏せても立地や業態から推測される場合があるため、初期情報の粒度を調整します。初回フォームへ顧客名簿や従業員名簿などの機微な情報を入力しないでください。
まとめ:店舗を営業できる状態で引き継ぐ
新橋の飲食店M&Aでは、店舗の知名度や希望価格だけでなく、賃貸借、営業許可、人材、顧客、仕入、設備、決済、予約のつながりを確認します。取引対象に書かれていても、契約上移せないもの、行政手続が必要なもの、現場の協力がなければ再現できないものがあります。
譲渡企業様は、売上資料と同時に「翌日から営業するために必要なもの」を一覧にしてください。候補先は、その一覧をもとに、追加投資、承諾、採用、手続、引き継ぎ期間を見積もれます。事実と希望を分け、未確認事項に担当者と期限を置くことが、成約後の混乱を減らします。
地域の店舗・サービス業に共通する論点は店舗・サービス業のM&Aガイド、実際の検討の入口は日比谷M&A総合センターのトップページでも確認できます。
日比谷・都心部を対象とする民間の相談窓口です。運営は株式会社M&A Do、東京本社は港区北青山です。運営会社情報をご確認いただけます。
店舗名を出す前から相談できます
賃貸借、営業許可、従業員、設備、常連客など、まだ整理できていない段階でも構いません。初回は資料提出不要で、会社名・氏名・電話も任意です。店舗名を伏せ、守りたい条件と確認順序から整理します。譲渡企業様の相談料・着手金・月額報酬・中間金・成功報酬は0円です。
譲渡について無料で相談する- 港区「営業許可 手続きのながれ」
- 港区「地位承継届」
- 厚生労働省「生活衛生関係営業等の営業者の皆さまへ」
- 厚生労働省「食品衛生法」
- JR東日本「各駅の乗車人員 2024年度」
- 港区「港区REVIEW 数字で見る港区」
- 港区「コロナ禍における港区の産業構造の変化に関する共同研究報告書」
- 国税庁「営業の譲渡をした場合の対価の額」
制度・統計は2026年7月16日に確認しました。最新の申請様式、運用、個別案件への適用は、各機関および専門家へご確認ください。
